しがない人生

四季の移ろいを背景にして、 主人公の情感が、匂うような小説をupしていきます。

箱根の新緑

山里の桜が散ると、冬景色だった山肌には、一斉に桜が咲く。
豆桜、山桜、大島桜が咲くさまは、山肌のあちこちに、小さな雲を浮かべたように見える。
全山の桜が散った後、山肌は清々しい新緑に被われる。

今、箱根は新緑が美しい。

湯本から大平台へかけて、国道一号線をドライブすると、
新緑のシャワーを浴びているような錯覚に捉われる。

登山電車の出山鉄橋からの眺望も素晴らしい。
両側にそそり立つ山々は、新緑に輝き、さながら、印象派の絵画である。

五月上旬までが、新緑の旬。
風薫る五月というが、まさに、一年中で一番爽やかな季節だ。
新緑の中に、身を置くと、
皆に幸あれ、と素直に思えてくるのはなぜだろう。

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大平台の枝垂れ桜

箱根の大平台。
ほそかわ旅館に、見事な枝垂れ桜の大木がある。
土の香漂う空き地のほぼ中央に、その桜は植えられている。
空き地は駐車場として使われているが、
昨夜は一台の車も無かった。
観光名所のように、ライトアップされている訳でもなく、
道路の外灯からこぼれた光りが届くだけなのに、
暗闇にぼおっと、満開の枝垂れ桜が浮き上がっていた。
昼間は濃いピンクなのに、薄いピンクなのは外灯のせいであろうか。
桜の花の真上に、オリオン座が煌めく星空であった。
星空と夜桜。
幽玄の美に、思わず立ち尽くした。
4月3日、木曜日、夜7時のことである。

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映画『おはん』を観て

市川昆監督の『おはん』は、1946年の作品である。
主演の人妻は、吉永小百合。ぐうたらな夫役に、石坂浩二。
勝気な芸者、大原麗子が、夫の浮気相手である。

時代は昭和初期なのだろうか、カメラは木造家屋の質感を丹念に捉えている。
この映像を目の当たりにすると、日本建築の美しさ、素晴らしさが良く分かる。

大原麗子の艶やかさと、吉永小百合の秘めた情熱。
二人の女の美しさは、対照的だ。
片方が爛漫の桜の花とすれば、片方は凛と咲く梅の花ではなかろうか。








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